起業へ向け一歩踏み出すとさまざまな不安が押し寄せてくるようになります。これから起業へ向けて始まる段階、何をやるかを決める段階、やることが決まってビジネスをつくる段階、準備ができてスタートしようとする段階、そして起業した後の段階・・・不安はステージごとで違うものがあります。
本記事では、実際に10年以上にわたり、2000人を超える起業志望者との相談対応、80人を超える起業家を輩出した経験と事例にもとづき、起業の不安を解消するにはどうしたらいいのかをまとめました。
不安になるのは当たり前と認識する
起業には不安がつきものです。起業準備中であれ起業してからであれずっとついてまわります。起業準備中は「本当に今やっていることでいいんだろうか?」といった不安。
「来月の売上はどうしよう?」「このままいったらお金が尽きるんじゃないか・・・」起業してからの不安は半端ないものがあります。そんな不安に打ち勝つにはどうしたらいいのでしょうか?
まず「不安があるのは当たり前と認識すること」。実はこれが入口です。誰だって新しいことをするには不安です。不安のない人なんていません。不安なのは自分だけではありません。みんな同じ道を歩んで今があります。
「これが来ると言われる不安っていうやつなんだな」そんな受け止め方です。認識の仕方を知っているのと知らないのでは大違いです。
不安になる原因を理解する
「自分が進む方向はこれでいいんだろうか・・・」「家族にはどうやって説明しようか・・・」「こんなビジネスプランでやっていけるんだろうか・・・」「お金はどうやってまわすんだろう・・・」「お客さまはちゃんとできるのかなあ・・・」
起業準備をはじめると「不安」が起こります。一度で終わるかと思っていたらそんなことはありません。進めば進むほどいろいろな不安が押し寄せてきます。
不安ってなぜ起こるんでしょうか?それは自分が行く先が未知の世界だから。居心地のいい家の中から真っ暗な外へ出ていくようなものです。外に出るといきなり穴があるかもしれません。獣がいるかもしれません。まだ経験したことがないことに人は不安を感じるものです。
じゃあ、起業の不安を解消するのにどうしたらいいんでしょう?まずは最初から不安があるものと思ってしまうことです。未経験のことにはアップダウンがある前提に立つことです。そもそもまだ見たことがない世界へ行くのだからカベはあって当たり前。
まず何が不安なのかを書き出してみる。不安だ不安だと思っていたら余計に頭の中は不安だらけになります。そんなときは今不安に思っていることが何なのか書いてみましょう。書き出すと意外にこれだけなんだ・・・と気がラクになります。
さらに動くことです。起業の不安を抱えたまま立ち止まっていると余計に不安は増幅します。そんなときはとにかく動いてみる。実際に動いてみるとずっと不安に思っていたことってこの程度だったんだと感じます。動いたからこそ見えるものがあります。
起業に不安は尽きないものです。「起業の不安と付き合ってやるぞ!」そんな思いで臨んでみてください。不安の先にはあなたがまだ見ぬ「未来」が待っています。
不安とはうまく付き合っていくもの
仕事をしながら起業準備、両立できるのかなあ・・・家族の理解を得たいけどどうすればいいんだろう・・・ビジネスをかためてきたけど買ってもらえるんだろうか・・・会社を辞める日を決めたけど、ほんとに辞めちゃって大丈夫なの・・・起業して動いているけどこれからどうなるのかなあ・・・今月の売上はどうなるのかなあ・・・
起業準備、起業後はさまざまな不安にかられます。自分が置かれたステージによって不安の種類は変わっていきます。いつまでたっても、どこまでいっても尽きないものです。どうしたらいいか?
最初に大前提があります。「不安とは付き合っていくもの」まずその気持ちをもつことが大切です。そうしないとそのつどそのつどの不安で押しつぶされてしまいます。
付き合っていくときに何をするか?自分の中にだけに溜めないことです。不安は考えれば考えるほど良い方向には進みません。一人で考えていると不安はどんどん大きくなります。
不安は溜めずに話してみることです。今抱える不安を外に出してみることです。そのためには不安を話せる相手をつくらないといけません。あなたの不安を真摯に聴いてくれる信頼できる仲間をつくること。定期的に不安を出せる場をつくって話を聴いてもらうこと。
不安を解消するには自分が前を向いて進もうという気持ちになることが必要。不安を吐き出す場があればやってみようと気持ちをつくることができます。「不安を感じているのは自分だけじゃないんだ!」当然相手にも不安があります。そのことを知るだけでも勇気が湧いてきます。
自分の不安をしっかりと受け止めてくれる人。否定や評論をせずちゃんと聴いてくれる人。あなたの気持ちをわかってくれる人。不安を解消するために同じ志の仲間づくり必須になります。
最後に不安との付き合い方のコツです。それは「ワクワクとの天秤にかけて折り合いをつける」こと。起業はワクワクしながら進めていくものです。「あんなことをすると面白そう!」「こんなのがあったらいいよね!」「次はこんなことがしたい!」
最初はすべて妄想から始まります。それが日々を動かす原動力になります。わくわくは不安と対局にあるものです。不安をわくわくで打ち消していきます。わくわくと不安を天秤にかけてバランスをとりながら毎日を送る。これが行き着く先にもっていたいイメージです。
不安が頭を充満したときの解決策
「独立起業って、頭のいい優れた人がやることでは?」「果たして生活していけるんだろうか?」「事業はうまくいくんだろうか?」「資金はどのくらいいるんだろう?」「お客さんはどうやってつくっていくんだろう?」「なんとなくアイディアはあるけど、本当に自分がやりたいことなのかな?」
独立起業の不安にはいろいろとあります。起業の不安を解消するにはどうしたらいいのでしょうか?不安は消そう、消そうと思っても余計に消えません。ならば、いったんしっかり受け止めてみましょう。
まず今あなたが不安に思っていることを書き出してみてください。頭の中でモヤモヤしていても堂々巡りを繰り返すだけ。人は頭の中だけで考えられるキャパがあります。とても小さなキャパです。キャパを超えると増幅の度合いが増します。
モヤモヤが増殖すると、それがかなり大きくなって頭の中を支配します。いつまで経っても出口は見えません。そうなる前に書き出してみてください。書き出してみると、意外に思ったより数が少ないことがわかったりします。
そして次に書いたことを第三者に話すこと。話さないと次のアクションにつながらないからです。話す相手は誰でもいいというわけではありません。独立起業の不安を実体験した人です。
サラリーマンの仲間には話してもムダです。なぜなら、サラリーマンと起業家ではそもそもものの考え方がまったく逆だから。何より体験したことがない人に不安の意味がわかるはずがありませんね。起業の不安は自分一人で抱えないようにしましょう。
話すときのコツがあります。それが「本音」と「弱音」です。こんなこと、会社ではぜったい言えないし、家族も状況がわかっていないので言えない。そんなことをはき出します。同じ志が共有できた仲間であれば心を許して話ができます。
「今日はなんだか日頃のわだかまりが消えた」「モヤモヤしていたものがスッキリした」「聴いてもらうだけでも効果があるんですね」本音と弱音が話せるとこんな言葉が飛び交います。一見ネガティブに見えるこの行為。でもたまにはこれが必要なんです。
人間、そんなに強い動物ではありません。どこかで弱音もはきたいもの。一度ネガティブを出しちゃうとあとはポジティブしかありません。こうした場を糧に次のアクションへ進んでいけばいいのです。
不安の反対側にはワクワク感があります。不安とワクワク感のバランスをうまくとりながら毎日を送ります。不安な時は不安でいいじゃないですか。その代わり次の日は気分一新。テンションを上げてスタートしましょう。
収入は複線化する
起業の一番の不安はお金です。残念ながらお金の不安を解決する根本的な方法はありません。ただ必ず起業前にやってほしいことがあります。起業離陸した後あわてないためにやってほしいことです。「この事業計画で進めるから3年後はこうなる・・・」それも大切ですが、もっともっと現実的な話です。
結論から言います。やりたいこと一本で始めることは危険です。あなたが起業するビジネス以外に確実に収入を得る手段を用意しましょう。そうしないと、貯金を食いつぶすことになります。
知り合いの起業家は、3つのアルバイトを確保してからスタートしました。別の起業家は工事現場でバイトしていました。別の起業家は、やりたいことに加え、実績のあるオークション、バイトの3本で組み立てをしてもらっています。
そんなやりたくないことをするって起業した意味がないじゃん・・・一見そう思えるかもしれません。でも現実はこうしたことがやりながら、多くの起業家は一本立ちしていきます。そんな細かいこと、自分から言う人なんていないから表に出ない話なだけです。
これを具体化する方法があります。必要な収入を「3階建てで組み立てる」方法です。独立直後、最低限必要な月収はいくらですか?生活をしていく上で必要な収入という意味です。それを3階建てで組み立てしていきます。
3階は「ワクワクすること・やりたいこと・情熱がかけられること」(LOVE WORK)、2階はこれまでの経験から「できること」(LIKE WORK)、1階は「生計を立てること」(RICE WORK)です。1階から3階を足し算してあなたが必要な収入を組み立てていきます。
ここでやる作業は机上の空論ではいけません。より現実的に考えてみてください。1階は、失業保険や貯金の取り崩し、アルバイトといったものが入るイメージです。
なぜこんなことをするのでしょうか?ここでリアルに考えておけばおくほど、実際ふたをあけて予想外のことが起こっても対応できるからです。逆にこれをやっておかないと、予期せぬ事態で慌てることになります。
慌てるだけならいいですが、取り返しのつかない事態になったら元も子もありません。お金に窮してしまうとにっちもさっちもいかなくなります。
起業には「覚悟」が必要だと言います。僕も起業前、先輩からこの話をよく聴きました。でも「覚悟」の本当の意味がわかりませんでした。「覚悟」とはこうして自分が追い詰められたとき、リスクをどうとるかを決めておくことです。
知り合いの起業家はバイトを3つ確保して会社を辞めたそうです。僕の例だと、起業1年目に1階と2階としてキャリア相談とコミュニケーション講師の時給バイトをやっていました。
その意味で大切なのが2階です。あなたがこれまでやってきた仕事や経験の中で人より少しできること、得意なことは何でしょうか?まずはそれでお金を稼ぐ仕組みをつくります。もちろんサラリーマンを続けながらです。
世の中には忙しくて、ほんとはやらないといけないけど手につかないことを抱えて困っている人がたくさんいます。「緊急ではないけど重要な案件」です。そうした人の困り事を「代行する」ことでビジネスをつくっていくやり方もあります。
2階をもっていると起業はスムーズに進みます。稼ぐ基盤づくりをしつつ、1F、2Fを減らしていく。そして3Fのワクワク情熱が傾けられることへシフトしていきます。
別の知り合いの起業家は、独立して3ヶ月やって収入がゼロだったら、起業を辞めて転職すると決めていたと言います。この人は3階だけで勝負したわけです。ある意味、こうした自分なりのものさしをしっかり持っておくことも一つの視点です。
独立起業後、今いる会社と業務委託契約をして当面の稼ぎをつくるやり方を実践した人もいます。会社に雇用されるのではなく、対等の関係をつくって、業務委託で収入を得ながら本当にやりたいことをつくっていく。これからの新しい働き方の選択肢と言えます。
ネガティブを引っ張らない
相談に来られる方からよくある質問です。「会社で自分のやりたいことができなくなった」「一生懸命やっているのに報われない」「若手が台頭してきて自分の居場所がなくなってきた」一見ネガティブに見えます。最初はみんなネガティブです。それはそれで素直に受け止めてください。
大切なことはネガティブを引っ張らないこと。ネガティブだと思えばネガティブなだけです。「今、人生の転機が来たんだ!」「自分で人生を考えろと背中を押してくれているんだ!」ポジティブ思考に変換します。
起業には「タイミング」があります。タイミングを逸すると、人生はそのまま最後まで行っちゃいます。「このままではいけない!」そう感じているのなら、今がチャンスと考えましょう。今と違う小さな一歩、会社以外の世界。見に行こうとすることで大きく視野は広がります。
お金は具体的にする
起業の不安の一番はお金です。固定収入がなくなって本当に生活していけるのだろうか?という不安。アカデミーのビジネスモデルを創るプログラムの中に収支計画があります。収支計画を作ったときに起こる感情から紐解いてみます。
収支計画表は一応3年目までを書く様式になっています。でも現実は3年目を読むなんて不可能。3年目はこうなっていたい目標になります。特に注力してもらうのは最初の1年目。収入は売上マイナス原価と経費。ここで初めて原価や経費も考え合わせる。とにかくリアルに考えてもらいます。
原価と経費には、自分の給料、会場費、交通費、会議費、新聞図書費、事務用品費、広告費といったもの、さらに社会保険や税金が入ってきます。これだけのものをマイナスするために収支を出すには売上を増やさないといけなくなります。
でも初年度にお客さまを集めるなんてそんなにうまくいきません。売上を増やすなんてそうそう望めるはずがありません。頭を悩ませます。
「こんな状態で生活していけるのだろうか?」「持ち出しばかりで踏ん張れるのだろうか?」「もしお金が底をついたらどうしよう・・・」リアルに考えれば考えるほど不安が押し寄せてきます。これが普通の思考パターン。
最初はこれで大丈夫なのか?と不安でいた。今回一つの数字を出すのに2~3日掛かった。おかげで起業後の姿をイメージし尽くすことができた。その結果、今回数字にすることで不安が払拭できた。ここまでやればこうなるという目安ができた。目標設定にもつながった
これは収支計画に取り組んだ一人のメンバーのコメントです。この中に不安を解消するエッセンスが込められています。不安はなぜ押し寄せるのか?それはどうなるかわからないからです。
人は見えないものは不安になります。ということは見えるようにすればいいわけです。考え尽くして数字という見える形にすることで不安を解消する。とても示唆がありますね。
机上で考え過ぎない
「こんなことやって本当に売れるんだろうか?」と思うものがあります。これも商品サービスを練り込む段階で出てくる不安です。どうしたら解決できるのでしょう?
結論から言うと机上で考え尽くしたら売ってみるということです。どれだけ必死に考えても買ってもらえるか売ってみないとわかりません。だから実際売ってみることで答えを出していきます。
新規事業や新しい案件をやろうというときを思い出してみてください。計画を練り過ぎている間にトレンドが変わった。着手したときに良かったものがタイミングを逸したと陳腐化してしまった。そんな経験はありませんか?
サラリーマンは会社の中で計画を立てることが仕事になっています。知らないうちに計画に計画を重ねる訓練をさせられています。机上で考えてしまうクセがついているのです。その結果完璧を求めてしまいがちな思考パターンに陥ります。
起業ネタをどうしようかで止まってしまう人もいます。「ああでもない、こうでもない、こんなことができそう、あんなことができそう・・・」起業準備が頓挫してしまう理由のひとつだったりします。そんなことを続けていても何も前進はしません。まずはここでいくか!そう決めて動くしかありません。
起業準備に完璧はありません。これが正しいという答えもありません。考えたビジネスがうまくいくか否かは誰にもわからないこと。知っているのはお客さまだけです。まずは考え尽くす。考え尽くして60%できたらやってみる。あとは走りながら修正していく。このくらいの考え方がベストと考えてください。
お金に窮する失敗は避けないといけません。でもそれ以外の失敗なんて大したことはありません。起業準備中にできるだけたくさんの失敗をしましょう。起業準備中なら失敗してもダメージは少なくて済みます。起業後に失敗をすると取り返しがつかないことになる可能性もあるからです。
「成功の反対は行動しないこと」昔どこかできいたフレーズ。不安だ不安だと思ったらこの言葉を思い出してください。
情報を集めすぎない
自分がこれでいけるのか自信がなくなると周辺情報を集めたくなります。ネットで調べたり本を読んだりセミナーに参加したり。いろんな人がいろんなことを言っています。その一つひとつを取り入れようとしたら混乱するだけ。余計に自信がなくなります。
インターネットは便利なツールです。でもすぐに情報が集められるから、こうしたときはデメリットになります。いったんこれでいくと決めたら情報収集もひと段落です。
情報収集の手段には人に聴くというのがあります。ここでも「人の話を聴きすぎない」ことです。不安になると人の話を聴きたくなります。ネットより対面の一次情報には価値があります。心ある第三者の話は素直に聴くべきです。
ただ聴きすぎは良くありません。相手はその場その場の思いつきで話していることがあります。みんな違うことを言います。それをすべてそのまま鵜呑みにしていたら自分の軸なんていつまで経っても定まりません。
やってみると決める
「一応この方向性でいくと決めたけど、このまま進んでいいんだろうか?」「ビジネスプランを考えたけど、これでほんとにうまくいくんだろうか?」「お客さまはついてくれるんだろうか?」
進めば進んだ分だけ不安は募ります。その時のどうするか?不安をなくすもの、それは何かを決めたときです。実際あった事例を紹介します。
会社を辞めることを決めたら不安はなくなりました。根拠のない自信みたいなものがあります。やるしかないから。動いていれば必要なときに必要なことが入ってくる、そんな気がしています。これまでの決めてなかったら不安だったような気がします。決めると不思議と不安がなくなりました。
これは最近会社を辞める日、起業離陸する日を決めたメンバーのコメントです。起業前から起業後、不安はいつもついてきます。考えても答えは出てきません。引きこもって考えれば考えるほど変な方向へいってしまいます。そんなときには動いてみることです。
自分の気持ちが落ちているときほど人に会いに行く予定を入れてみることです。信頼できる知人に会って自分の話をしてみる。話すことで頭の整理もできてくる。話したことに対して気づきを言ってもらう。相手の話から刺激をもらってみる。
そんな中から次に一歩が見えてきます。とにかく動いてみようというエネルギーをつくり出します。
決して一人で考えすぎてはだめです。そして小さな一歩を決めてみる。自分ができそうなことをやってみると決めてみる。すると心の中の曇りが一気に晴れる思いを感じることができます。ぜひやってみてください。
立ち止まっていたら不安はどんどん大きくなります。だからとにかく動いてみてください。小さなことでいいです。一人で考えていると余計なことを考えてしまいがちです。結果ネガティブ思考になってしまいます。
それよりも仲間と会って話をすることです。できることならちょっと先行く先輩の話を聴くことです。「自分も少し前はそうだったよ。そんなときはこうしたよ」という話を聴けば気持ちがラクになります。
頭の中でいくら考えても答えなんて見つかりません。一生懸命考えたんです。じゃあそれを実行してみようじゃないですか。起業には正しい答えなんてありません。やった人がやったもん勝ちの世界です。
「オレだってアイデアはもってたんだけどなあ・・・」こんなふうに言う人がいます。でもそれって何の意味もありません。口だけで何もやってないんですから。アイデアは実行してこそはじめて価値が出ます。
そもそもサラリーマンをしながら起業準備をしています。やってみてうまくいかなくてもいくらでもやり直しをすればいい話です。そのことでお金がなくなるとか生活できなくなるとかありませんよね?
むしろどんどん失敗を重ねていくべきです。失敗経験がすべて自信に変わっていくからです。失敗をたくさんした人こそ真の専門家です。
起業とは「自分で仕事を創り出すこと」です。「そんなことが仕事になるの?」というものを仕事に変えていきます。これまで誰一人踏み入れていない道なき道を切り拓いた者だけが見ることができるフロンティアがあります。
不安を乗り超えた先にあなたが望む未来が待っています。決してくじけることなく前へ向かって進んでいきましょう。
起業に踏み切る気持ちの整理
体験談です。三宅の場合、会社員時代の起業準備期間は半年もありませんでした。40代半ばから大手企業からベンチャーの創業メンバー、倒産、失業を経て、零細中小企業へと転々としました。
大手ではエリートコースまっしぐら、社長への進言をもとに急降下。あげくは、札付き上司に強烈パワハラ、自暴自棄。行き場を失い一念発起して勇んで移ったネット系ベンチャーは、リーマンショックの煽りを受けわずか3ヶ月であえなく倒産。最後の零細企業にいるとき。
「このままいくと、自分としての人生は台無しになる」と気づきました。
まずは社外の集まりに接点をもとうと平日夜に行動を開始。その後とある起業を目指す団体に所属。司会役をしたり、ミニセミナーを開催したり。起業の真似事をしていました。起業へ踏み切ったのは零細社長との衝突がきっかけ。30人の選抜に勝ち残った会社なのに1年間仕事を干されました。
納得がいかない日々。そんなある日、新年度からあちこち出張が入ることを指示されました。会社仕事に時間を取られて起業へ向けた準備なんてできなくなる。このままなし崩しになると一生会社の言いなりになる。
その指示を断りました。もう後がない。やるしかない!これが起業離陸のときの正直な気持ちです。思いつきではなく、それまでの数年間の紆余曲折が基盤にありました。
その時、風が吹いたと思っています。タイミングですね。起業離陸は、ネガティブな動機でもいいです。人間なんですから。大切なのは、その先にポジティブなゴールをつくることです。
資格取得に走らない
起業準備をしているといろんな不安にさいなまれてきます。自分なりにビジネスプランづくりがかたまってくると出てくる不安。「他にもたくさん同じようなことをしている人がいるのに、自分なんかを選んでもらえるんだろうか・・・」「実績もないのに信用してもらえるんだろうか・・・」こんな種類の不安です。
結論から言います。起業準備中に不安になったからといって、資格取得に走ることはNGです。資格を取ったからといって自分のビジネスにはたいして効果が出ません。資格取得コースをやっている会社に収益貢献するだけです。
実績がないから資格の一つでももっていないと信用してもらえないのではないか?という気持ちになってきます。一度考え始めるともう止まらなくなります。資格、資格といつも頭の中を巡り始めます。
そんな中体験セミナーなどに参加しようものなら、思わず資格取得講座を申し込んでしまった。受講料ウン十万円もするのに。こんな人が絶えないから資格ビジネスが儲かる仕組みになっているのですね。
例えばよくあるものに心理カウンセラーがあります。心理カウンセラーには国家資格がありません。カウンセラーと名乗ってしまえば仕事ができる世界です。
カウンセラーで起業準備中の人は他にもたくさんいるカウンセラーと比較されることに不安を感じます。自信がないから何か資格をつけたくなります。NLPなどがその最たるものです。
実は僕自身この悪循環にはまってしまった一人です。人と向き合う仕事をしたい。でも資格一つ持っていない。これでは信用してもらえないだろう。当時流行っていたコーチングにするか、それとも他のものにするか?
そんなときNLPの存在を知りました。NLPならコーチングはもちろんカウンセリングの技術も習得できでお得・・・という触れ込みにつられ思わず申込。40万円強も支払いました。
そして全10回講座に通ってもらった資格。うれしそうに名刺に資格名を書いたのを覚えています。でもその後資格があったから仕事になったというものはゼロに等しい。名刺やチラシに資格が書ける単なる自己満足にしかなりませんでした。
もちろんそこで学んだことが役に立っていないとは言いません。ただ実際にお客さまと接する中で必要なスキルはこれではなかったことがわかりました。そのときに改めて学べば良かったと後悔しました。
もし資格を取得したとしてもプロフィールや名刺に書けるだけです。ないよりあった方がいいかもしれません。でもクライアントになる人は資格をみて相談を依頼するのではありません。
「この人は自分の今の状況をきちんと受け止めてくれる人なのだろうか?」という点が一番重要になるのです。このことを忘れないでください。
資格取得はお金が掛かります。資格にお金を掛けるくらいなら実ビジネスに費用を掛けてください。例えばビジネスの生命線になる集客。それを司るホームページ育成に投資するのが得策です。
資格は実際にお客さまと対面してみて「この現場ならこんな資格やスキルがあった方がいい」と感じたときに取得した方がダンゼン良い。起業したけど資格オタクでビジネスがまわってない・・・そんな事態にならないよう心に留めておいてください。
起業を決意する意味を知る
「起業を決意したのはどんなときですか?」こんな質問をよく耳にします。決意の意味はその人が置かれた環境によって変わってきます。一方で共通の考え方もあります。わかりやすい事例を紹介します。
週末起業で10年近く活動をしているメンバーAさんがいます。地力はついてきているけど、なかなか一歩が踏み出せずにいました。家族のこと、生活費のこと、果たして食べていけるのか・・・いろいろな思いの中でのことでした。
もう一人のメンバーBさんがいます。サラリーマンをしながら起業準備を始めて3ヶ月。Bさんはいち早く会社を辞め、起業することを決めました。ある日Aさんは、「なんでそんなに早く決意ができたの?」と訊いてみたそうです。
するとBさんは、「自分の中ではもう会社を辞めているんです。気持ちが辞めているのに、無理矢理やってもしょうがないと思ったんです。やってみて最悪ダメだったら戻ればいいと思っています」
Aさんはこのひと言に衝撃を受けました。そうなんだ、その通りなんだ。自分は今まで何をしてきたんだ・・・今までの自分を振り返りました。後日Aさんはこう言いました。
「6月始めに会社に退職宣言をして、9月から起業スタートします。今いる社宅には住めなくなるので、もう引越し先を決めました」この二人の会話。起業の決意とは何かが伝わってくる事例です。
やり切る決意、覚悟を決めるといった大事なこともあります。ただ結構忘れがちなことがあります。それは「時間がかかること」を肝に命じるということです。
例えば、起業にとってもっとも大切な集客。広告費をかけずに集客をするためには、1年以上かけて地道にコツコツと記事を書き足しながら、ホームページを育てていく必要があります。
毎日毎日、いったい自分は何をしているんだろう・・・そんなふうに感じることもあります。でも、挫けることなくモチベーションを維持して続けていきます。もちろん広告費をかければ多少時間は短縮できます。でも起業当初そんなにコストはかけられませんよね。
起業したいなあ・・・では起業成就はできません。テレビをボーっとみたり、意味のない飲み会に参加したり。今の生活の延長線上に起業成功はないことを覚えておきましょう。
成功と失敗の意味を知る
起業の成功とは何ですか?起業の失敗とは何ですか?この答えは人によって違います。なぜなら一人ひとりの価値観が違うからです。今の年収の3倍稼げたら成功!億万長者になったら成功!無一文になって借金に追われたら失敗。会社が倒産したら失敗。こんな感じでしょうか?
成功の本当の定義は「ずっと続けていること」。事業は続けていくことが一番難しいことです。ですから、続けていることが成功のものさしと思っています。その結果、家族と笑顔でたのしく毎日を暮らしていること。この状態を目指しています。
失敗はその逆。事業を辞めざる得ない状況になること。家族とかなしい顔をして暮らしていること。あなたにとっての起業の成功のものさしを描いておきましょう。