50代を迎えると会社におかれた環境でこれからの働き方が不透明になる。今の会社に残って雇用延長なんてない。じゃあ転職か?今さら転職なんて難しいに決まっている。あとは起業。そんな無謀な・・・いろいろな選択肢が頭をよぎる。どれがいいかモヤモヤする。そんなときどう考えたらいいのか?本記事では55歳以上シニア起業の心構えについてまとめた。
55歳前後で迎える働き方の分岐点
「役職定年になってポジションが下がり収入が激減、このまま定年まで勤めていくのか・・・」「定年した後、65歳まで雇用延長を受けるのか・・・」55歳前後になるとサラリーマン生活は曲がり角を迎える。そこで出てくる起業の二文字。「どうしたらいいのかモヤモヤしている・・・」頭を抱えて相談に行く。こんな例はたくさんある。
Cさんはこれまである会社に勤めてきた。経営上の荒波もあって給与カットの憂き目に遭った。このままだと生活もおぼつかない。家庭の事情も重なって会社を辞めることにした。現在は失業保険をもらいながらの毎日だ。
休職期間中、転職活動を続けてきた。現実はきびしい状況になった。今の収入を確保できるような仕事は見つからない。そんな中、それなりの収入が得られるところから内定をもらった。すぐに飛びつきたいところのはず。でも何だか違和感が残っている。ネットでその会社の内情を調べるとブラックなところもありそうだ。どうするか悩み始めた。
一方でこれまでも何度か起業できないかと考えたことがあった。いつかは自分で仕事をつくりたい、そんな思いがあったからだ。好きなことがある。アイデアも浮かんでくる。でもそのたびに中途半端になっていた。そうこうしながら55歳の現在に至っている。
相談内容は転職か起業かどちらがいいかモヤモヤしているというものだった。答えはシンプルだ。まず最初にゴールを明確にすること。Cさんがこれからどんな人生をつくっていきたいのかがゴール。ゴールを具体化するためにどちらの選択肢がいいかを決めることだ。
55歳という年齢。年齢だけがすべてではない。ただ人生をコントロールするとしたらこれが最後のチャンスになるだろう。転職した先にどんな未来が待っているのか?60歳までは勤められたとしてもその先はどうなるかわからない。その時になってこれからどうしよう?とまた悩むときが来るはずだ。目の前の急場しのぎとしてはありかもしれない。でも本当にそんな人生でいいのだろうか?
転職にしろ起業にしろ、それ自体は手段に過ぎない。転職や起業を目的にしがちだ。これではうまくいかない。Cさんがこれまで起業に対して中途半端なのはその腹決めができていないからだ。やると決めたら徹底してやり続けていく気持ちが必要になる。これを覚悟と言う。
「自分で人生を考えるという大事なことを忘れていました。自分が心からたのしいと思えることは何なのか?自分がこれから未来どうありたいのかを再度考え直してみます」Cさんの最後のコメント。起業は人生をつくるための手段でしかない。忘れないでほしい。
サラリーマン時代のプライドを捨てる
労働市場では55歳以上をシニアと呼ぶそうだ。55歳以上の起業は「シニア起業」ということになるのだろう。シニア起業をしていくために最初に必要なことがある。それはつまらないプライドをかなぐり捨てることだ。それができないのならそれなりの人生を歩むのが賢明と言える。
大手家電メーカーの経理として会社人生を全うし現在は年金生活。子供も巣立って夫婦二人やっていくのはそれなりの毎日。一方で漠然とした将来への不安がある。体が動くうちは何かやってみたい
サラリーマン時代はエンジニアとして勤め、部長格だった。さまざまな部門立ち上げにも携わってきた。当時年収は1000万を超えていた。定年前に退職し、趣味を楽しんでいたがすぐに時間を持て余すようになった。それならば働いたほうがいいと思った
こんな感覚で再就職をしようと試みる人がいる。でも現実はそんなに甘くない。駐車場の警備員、飲食店の皿洗い、ビルの清掃・・・そんな仕事しか見つからない。ニーズがあるのは体力仕事、希望するようなホワイトカラー的な仕事はほぼ見つからない。これが現状だ。
もし起業を目指すのなら、今までのプライドは全て捨て去ることだ。「元役員をやっていた」そんな肩書きにこだわっていても起業の世界では何の意味もなさない。役立つのはどんな規模の会社で役員として何をしてきたのか。現場ではどんな問題が起こり何に困ったのか?その時どう対応してきたのか?その経験が誰かの役に立たないかを考えることだ。
コミュニティメンバーにも55歳以上の人は多数いる。サラリーマン時代は元現地法人の社長、大手IT企業や金融企業の本部長クラスの人など輝かしい経歴の持ち主ばかりだ。そうした中、起業へ向け成功軌道に乗っている人には共通点がある。
30歳近く年下であっても起業家として先輩のメンバーの話には謙虚に耳を傾ける。教わったことは素直に実行に移す。自分はゼロスタートと思って行動を繰り返す。前例がないことに取り組む。先は見えないがアクションを起こす。起こした先に見えるものがある。だからたのしい。その姿には過去のプライドなんてかけらも感じさせない。
他人に委ねる人生で終わりたくないのなら根っこから考えた方を改めることだ。ゼロから始める気持ちで臨むこと。それができないのなら年金生活で細々余生をたのしむことをおすすめする。
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年齢を気にしない
「起業するのに年齢ってありますか?」「この年齢で起業なんて遅すぎますよね?」ときどきこんな話を聴く。答えはNOだ。起業には年齢なんて関係ない。何かを始めるのに遅すぎることなんてない。やろうと思ったときこそ絶好のタイミングだ。
なかには「もう年だから・・・」こんな言葉を発する人がいる。そう思うからそうなっていく。年齢なんて気にしない。自分の役割や責任を感じながら生きている人は日々やりがいをもっていきいき毎日を送っている。
たしかに年齢とともに体力は衰えてくるだろう。でも気力は衰えるものではない。むしろ何かに向かっている気持ちがあればパワーアップするものだ。現に周囲の起業家で僕より年齢が上の50代、60代はエネルギッシュな人ばかりだ。ちなみに僕自身も独立してこれまで「体力がないから・・・」なんて思ったことは一度もない。
このことはサラリーマンをやっていたときと比較するとわかりやすい。サラリーマンの頃はスーツを着て、型にはまったカバンを持って会社と自宅を往復する。たまの休みは平日の疲れをほぐす時間に使おうとする。40、50代になると身なりにもあまり気をつかわなくなりがちだ。周囲がそうだからそれでいいという感じなのだろう。
たまに同世代のサラリーマンの知り合いと会うと、とても老けた風貌に変わっていることに驚く。人は内面の気持ちと周囲の環境でこんなに影響を受けるものなのだと改めて感じる瞬間だ。
起業家は周囲から見られる仕事でもある。身なりにもそれなりに気をつかう。休日になっても同じスタンスだ。スエットでゴロゴロするとかはしない。そういう意味で外見は大切だ。外見を整えることで内面が磨かれるということにもつながる。
起業には年齢なんて関係ない。あなたが自分の役割をつくり果たしていきたいと思ったときが吉日。こんな歳になって・・・なんて言っていたらだめだ。人生はこれから。毎日をたのしんで生きていこう。
自分がやりたいことを貫く
「33年間勤めた会社を今月末で退職します。諸手続きのため、本日久しぶりに出社しました。所属部署メンバーの前で最後の挨拶。3分と時間を決め、近況、起業の目指すところを話しました。天職塾FAAで日頃やっているチアワークの効果か、時間通りスピーチ終了!こころ晴れ晴れ。荒波に向け出航します・・・」
先日、50代後半のメンバーがコミュニティに書き込みをアップした。彼は2000人の従業員を抱える海外現地法人の代表まで務めた優秀なビジネスマンだ。30年を超える会社生活の中で数々の経験をしてきた。でも彼の起業がする仕事は今までやってきたこととは全く一線を画している。
アンクルンというインドネシアの伝統楽器。アンクルンを使って癒しや和みの空間をつくる。子供からお年寄りまで一緒に笑顔になれる。それを価値として提供していく仕事だ。自分が苦難の真っただ中にいたとき、勤務先のインドネシアで出会った楽器から得た忘れられない感動体験。それを仕事に変えていきたいという強い想いでビジネスを構築している。
「インドネシア楽器?」「それで何をするの?」「そんなものでご飯が食べられるの?」「そもそも市場マーケットはあるの?」「生活成り立つの?」こんなふうに言う人がいる。無責任な発言だ。何が根拠でそんなことが言えるのか。今世の中にあるものが常識だと思っていたら、人に感動を与えることなんてできない。既成概念の中にいる人は新しい仕事なんて創り出すことはできない。起業は世の中にないものをゼロから産み出していくもの。市場は自分でつくっていくものだ。
「素晴らしいです!ご卒業おめでとうございます!」「ご卒業おめでとうございます!更に充実した航行になるものと期待しています!僕も続いて行けるようがんばります!!」「33年の勤務お疲れさまでした。私もあと2週間弱で21年勤めた会社の最終出勤日を迎えます。◯◯さんの起業の形を楽しみにしております。私も続きますので今後とも宜しくお願いします」
「お疲れ様でした!33年も勤め上げられたことは素晴らしいです。今後の展開にも期待しております」「33年間!!すごい!!わたしも去年、船出しました。次の航路のどこかでお会いできると嬉しいですね」「お疲れ様でした。いよいよですね。私も今年の3月で33年間勤め退社、感慨深いです。同じ60年生まれ、頑張りましょうね~」「いよいよ大冒険の始まり、大応援してます!」
メンバーから30件を超えるお祝いのコメントが入った。「ご卒業おめでとうございます」これが大事。そう会社を辞めたのではない。一つの役割を全うして新たな人生の船出をしたのだ。たくさんの仲間の強力な応援力とともに彼は第一人者の道を切り拓きはじめた。
「50代から起業なんて年齢的に遅すぎる・・・」そんなふうに感じていたら大間違い。とんでもない話だ。50代こそ新しいことを始めるに最適の年代。起業はやろうと思ったときが吉日。人生はまさに今から!やりたいことにチャレンジ!自分だけの仕事を創り出していく醍醐味を知ろう。