身の丈起業

中高年が会社を辞める前に知っておきたい個人事業スタートに必要な手続きとインフラ環境

「個人で事業を始めるときどんな準備や手続きが必要になるの?」気になるところですね。ネットで調べたり本で読んだり。あっちを見て、こっちを見ていると情報量が多すぎる余計にこんがらがってきます。

本記事では個人事業主でスタートするときに会社を辞める前に最低限知っておきたいポイントについてまとめました。

再就職手当

再就職手当とは、雇用保険の受給資格を満たしている人が、早期に再就職先が決まった場合にもらえる手当です。「ハローワーク就職祝い金」とも呼ばれ、ハローワークで所定の手続きをすることで支払われます。

再就職手当のご案内(厚生労働省)

再就職手当は、会社を辞めてからのつなぎ資金として重要です。ただし個人事業主になることで支給されるには条件があります。条件を満たす方法で手続きをしてください。

まず退職する際に会社から離職票を受け取ります。離職票を受け取ったらハローワークで求職の手続きをします。この手続きをしないと再就職手当はもらえません。

待機期間を過ぎて説明会の案内があるので参加します。失業認定を受けた後、自己都合退職の場合は、最低でも1ヶ月間就職活動をしなければなりません。

個人事業主になる場合は大半が自己都合のはずですので、就職活動はしなければならないと考えておきましょう。

1ヶ月間の就職活動期間が終了すれば、ハローワークで開業届を出す旨を伝えます。届出をすれば、個人事業主になる場合でも就職として認められます。開業届を提出します。

よく似たものに失業保険があります。転職などで求職活動をしているときにもらえる制度です。俗に失業手当と呼ばれたりします。

受け取れる失業手当の金額は、自己都合・会社都合といった退職方法、雇用保険の加入期間や年齢、給料などによって異なります。

失業手当はもともと雇用保険の一種なので、手当を受けている期間は就職活動を行う必要があります。最初から独立意思をもっている場合は対象にはなりません。

独立か再就職か迷っているようなケースのみハローワークに相談してみるのがいいでしょう。決して不正受給といった事態にならないよう十分注意をしてください。

最後にひとつ奥の手です。

コミュニティOBの中には、失業保険をもらいながら今後自分が立ち上げる種類の職業訓練を受けてスキルを磨いたツワモノもいます。これから事業を立ち上げていくかを組み立てて有効に国の制度を活用できるとさらに良いです。

ローンとクレジットカード

独立起業したあとにやっておけばよかった・・・と後悔するものがあります。「住宅ローンを組む」「住宅ローンの借り換えをする」「新たにクレジットカードを作る」「新たに賃貸住宅を借りる」などです。

これらの審査は安定して支払いができるかで行われます。独立すると収入は不安定。それだけで貸す方はいきなりシビアになります。

例えば住宅ローンを借り換えるための審査は3年間さかのぼって行われます。事業をはじめてから軌道に乗るまでには数年かかります。会社を辞めると審査が通らなくなります。

「やっとこさ軌道に乗ってきたのに過去3年をみられるなんて。勘弁してよ・・・」これは独立後にローン借り換えをしたときの僕の体験談です。

クレジットカードにも審査があります。自営でやり始めると審査がきつくなります。もし新規でカードを作りたいなら会社員でいるうちに手続きしておいてください。

クレジットカードをつくりローンを組む。サラリーマンでいるときは当たり前で気にもかけていなかったこと。ローンが組めない、賃貸住宅が借りられない、独立するといきなりそんな問題に直面します。

サラリーマンでいるうちにこれらの手続きをすべて済ませておきましょう。独立起業後にやろうとしたら一気にハードルが上がってしまいます。

こうした手続きとともに固定費支出をミニマムに抑えていってください。売上がままならない起業の初期段階はとにかく出ていくお金をコントロールしておかないといけません。

ぜひ今のうちに固定費の削減整理をしていきましょう。これも起業初期をスムーズに乗り切る重要な方法です。サラリーマンの特権を生かした起業準備と言えます。

会社はどうするの?

「起業するなら会社をつくらないといけない」「会社をつくって独立したい」

こんなふうに言う人がいます。独立のために会社設立の仕方を勉強しないといけないと思っている人もたくさんいます。会社勤めをしていたら会社があって当たり前と思い込んでいるのが原因です。

本当にそうなんでしょうか?答えはNOです。

自分がやろうとするビジネスのお客さまが法人であることを条件とするのなら会社設立は必須です。でもそうでないなら最初から会社をつくる必要はありません。

会社つまり法人設立には費用が必要になります。まず会社をつくるとき。株式会社を設立するときは法的費用と専門家に依頼する報酬で30万円程度かかります。

あわせ資本金を用意しなければなりません。元手のようなものなので自分のお金ですがまとまった金額が必要になります。

会社設立後はたとえ赤字決算でも毎年法人住民税が必要になります。決算申告が複雑になるので顧問税理士を雇う費用も発生します。

「税金対策として法人の方がいいって聞いたから・・・」読みかじりでこんなことを言う人がいます。浅はかな考えです。税金対策に効いてくるのは一定規模の利益が出るようになってからのことです。

ビジネスを始めるには個人事業主という形態が身軽です。まず個人事業主でスタートして、事業規模を拡大しようというタイミングが来たら、そのとき会社設立を考えていきます。

会社は器の問題でしかありません。会社をつくるために資金調達をするなんてナンセンスな話です。会社設立は単なる手段です。取り違えないようにしましょう。

最初に必要な設備は?

独立起業時に最低限必要なインフラとは何でしょうか?それはインターネットがつながった環境とパソコンです。

インターネットはWIFI環境を用意してください。通常業務でのやりとりはメールやチャットが主流になります。ネットなしで仕事はできません。逆に言えば、ネット環境さえあれば、どこへ行っても仕事ができます。

独立したら場所を選ばず、自分のパフォーマンスが一番発揮できる環境で仕事をするのがベストです。仕事はオフィスでするもの・・・といった固定概念を取り払ってください。発想が縮こまります。

次にパソコンです。起業するからといっていきなり最新のパソコンを揃えてしまいがちです。ちょっと待ったという感じです。パソコンは新品でなく中古で十分です。

パソコンは日進月歩でどんどん性能が良くなります。新品を買って長く使うより中古を使って一定期間で買い替えていく方法がベターです。そうでなくてもいろいろと初期費用が掛かる事業立ち上げ時。できるだけコストは抑えていきたいものです。

自宅作業用としてはデスクトップがおすすめです。ホームページを更新したり、資料を作ったりするときに大きな画面の方が作業効率が上がるからです。スタートしてすぐは外でも仕事ができるノートパソコンを用意します。少し余裕が出てきたら自宅用のデスクトップを追加するのが良策です。

印刷用としてプリンタもあった方がいいです。プリンタはレーザーがおすすめです。インクジェットはインクのコストがかかります。印刷にも時間がかかるのでまとまった印刷をするのに向いていません。レーザーならコストは割安、両面印刷もできるので便利です。

そして意外に気づいていないのが仕上がりのクオリティ。インクジェットで印刷したものには素人感が満載です。お客さまから信頼を得るためにもレーザープリンタをお勧めします。

メールはウエブメールがおすすめです。Gメールにまとめると出先でもスマホからメール確認ができます。サーバに届くメールなども全て転送方式を活用して一元管理するのが良い方法です。

強いて言えばFAX。中小企業との取引はやはりFAXが根強いものがあります。未だにメールを見ないという高齢の経営者もいたりします。なくても仕事はできますがあれば尚良しという感じです。

事務所はどうするの?

個人で事業を始めるのなら初期は事務所は要りません。自宅を事務所としてスタートしてください。

自宅住所を公開したくないときはバーチャルオフィスを活用します。特に女性が自宅住所をさらすのはリスクがありますよね。

僕が独立したときも自宅を事務所にしていました。すると「埼玉しかカバーされていないんですか?」と聞かれたことがありました。これでは広がらないと思い、あわてて東京にレンタル住所を借りた記憶があります。

このように仕事の範囲として住所を変える必要もあったりします。バーチャルオフィス比較サイトなどで探してみましょう。住所レンタルだけなら中心部でも月1000円くらいからあります。

事務所などに経費を使うくらいならホームページをしっかり作り込むなど集客に力を入れていくことです。

とここまでは従来からある事務所のつくり方です。これからの時代は事務所といった箱に固定化されるのではなく、シゴト自体を持ち運びできるような働き方をおすすめします。

仕事が持ち運びできるのでポータブルワークと呼んでいます。事務所ありきという固定概念を一度取り払ってみてください。

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健康保険・国民年金

独立起業した後は支出を抑えていくことが肝要です。なぜなら売上はそうそう増えていくものではないからです。

支出のうち、必ず発生するのが健康保険、国民保険といった公的なものです。あらかじめどのくらい掛かるのかをつかんでおきましょう、

健康保険と国民年金については、まず今会社でどのくらい払っているのかを調べてください。給与明細を一度しっかり見ればわかります。

健康保険は会社が半額負担してくれています。なので独立後は額面の2倍程度を自分で支払うことになります。2倍というのはあくまで目安、正確には金額が変わります。

年金には国民年金と厚生年金があります。会社を辞めると国民年金だけになるので支払額は減りますが固定額なのでおさえておかないといけません。

サラリーマンのうちはこれらが給与天引きです。天引きされるとあまり身銭を切った感じがしません。会社が半額負担してくれるので金額もそれなりです。

これが個人で事業を始めると全く変わります。年金や税金の支払明細はまとまって届きます。これを毎月支払っていくことになります。

当たり前のことですが自分の稼ぎの中からの支払いです。毎月末になると「こんなに払わないといけないのー」という気持ちになります。社会保険のために稼いでいるような感じになります。

手元のキャッシュから支払う負担感は想像を超えるものです。この感覚がサラリーマンから独立して大きく変わるものの一つです。前もって知っておくと心構えになります。

税金関係

税金の支払いも大きく変わるものの一つです。サラリーマン時代は源泉徴収などですべて会社が代わりに納めてくれます。だから税金を支払っている感覚が薄いものです。

独立すると毎月の住民税支払い、年に一度の確定申告での税金支払いなどで持ち出し感が満載になります。税金分を取り置きしておかないとまとめて支払うときに資金繰りに困ったりします。

住民税と所得税についても別途発生するということ、大まかにどれくらいの金額になるかということを把握しておいてください。

銀行口座の開設

独立起業時の銀行口座開設はどうしたらいいのでしょうか?細かい話ですが、よくわからないことの一つですね。いざ独立起業が目の前になると、こうした細かな手続きが気になります。

個人事業主でスタートするなら、まずはネット銀行の口座をもつことをおすすめします。

銀行名に自分の名前だけというのはちょっとさみしいですよね。相手から見ても会社っぽさに欠けるので信用的にも・・・?という感じがするときもあります。そこで屋号を追記します。「三宅哲之事務所 三宅哲之」こんな感じです。

最近は都銀といわれるような銀行では口座開設がきびしくなっています。屋号を追記してほしいといっても受け付けてもらえないケースが多々あります。

そんな中、屋号を受け付けてくれるのがネット銀行です。ネット銀行にもいろいろありますが、経験から言うとPayPay銀行がおすすめです。

提出書類がたくさん要らない、屋号登録ができる口座がある、手続きがシンプル、口座開設までがスピーディー、振込手数料が少額で済むなどのメリットがあります。(2021.4月現在)

ネット銀行にはもう一つメリットがあります。それは入金確認がリアルタイムにできるということ。お客さまとの取引がはじまると口座への入金が始まります。

ネット銀行だとお客さまから入金があったらその場で確認ができます。「本日入金がありました」とメールが届きます。

お客さまからすると入金した後ちゃんと入金されたか否かが気になります。できるだけ早くレスポンスしたいもの。入金のつど連絡が来るのでタイムリーに対応できます。

これは自分がお客さまの立場に立てばよくわかります。お客さまの立場に立って考える。だれもが知るシンプルな鉄則です。これがいざ売り手になるとできないもの。いつも「自分がお客さまだったらどう思うか?」頭に置きたいものです。

入金があったときのうれしさは格別です。仕事をしていてスマホでメールチェックすると「入金がありました」というメッセージが入っているのを想像してみてください。ちょっとうれしいですよね。些細なことですが気持ちを高ぶらせる大きなメリットです。このように入金確認には一石二鳥効果があります。

ネット銀行のメリットは振込手数料が安いこと。独立起業すると毎月さまざまな支払いが発生します。それも毎月です。一つひとつの振込手数料を積み重ねたらばかになりません。一つひとつの手数料は安いに越したことはありません。

大手銀行にもネットバンキングというサービスがありますが利用料が高くつきます。起業アーリーステージは少しでも固定費を抑えたいもの。ネット銀行なら支払日になって銀行に行って手続きする手間もなく、自宅のパソコンで全て完了できるので効率的です。

先輩起業家の知り合いをつくる

独立起業に伴う細かな手続きは上記のようにいろいろあります。他にもモレがあるのではないか・・・どこまでやっても気になるものかもしれません。

そんなとき手っ取り早く解決する方法はちょっと先を行く先輩に聴くことです。本で読むより生の話をきいた方がずっと生きた情報です。

不必要なものにお金を使っても意味がありません。今いるステージで何が必要になったのか?それを経験してきた起業家と接点が持てる環境に身を置きたいものです。

まとめ

個人で事業をスタートするときに必要になる準備手続きをまとめました。特にお金関係は現実に直結しますので最初にやっておきましょう。

事業をスタートする際に一番大切な準備は、お客さまが集まってくる仕組みをつくることです。ここでは詳細を割愛しますが、肝心かなめを忘れないようにしてください。

中高年からの起業は大きく構えず身の丈でスタートする。そして身の丈サイズの中味を充実していく。それこそが長くたのしく事業をやっていくコツです。決してお金をかけ過ぎないようにしてください。

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