「友人と一緒に事業を立ち上げようと思うのですがどうでしょうか?」「知り合いと一緒に起業する方法はどうでしょうか?」「3人で起業したらうまくいくという話を聞きますが、2人より3人がいいですか?」こんな質問をよく受ける。いわゆる共同経営やコラボという形態だ。何に注意したらいいのだろうか?いくつかのポイントを共有したい。
サラリーマン的発想をなくす
一人でできないことを会社という形態で一緒にやろうとする・・・これはサラリーマン的発想だ。会社という枠組みにしてしまうと自由度がなくなる。物事を決めていくのにも複数の人の合意を得ないといけなくなる。もし自分が肝入りなことが具体化しなかったら、モチベーションも下がってしまう。このことはサラリーマンをやっていたら一度は経験があるだろう。
新しいことをやり始めるのにはスピードが命になる。そんな中、外部発信する前に手間や時間が掛かっていては意味がない。お客さま目線で良しと思うことはどんどんやってみるべきだ。やってみてその後検証すればいいことだ。基本はたのしく仕事をすること。やる側がたのしんでいないとお客さまはたのしくならない。
安易に組もうとしないこと
「自分ができないことは他人に頼めばいい。その方が効率的だし仕組みになる」こんなふうに考えがちだ。友人と一緒に起業しようという中には甘さも感じられます。自分のできないことを友人にやってもらおう、そんなノリだ。起業とは本来自分ですべてをやり切るもの。自分ですべてをやり切る覚悟がないのなら起業はやめておいた方がいい。
まずやろうとするビジネスを1から10まで自分で体験してみることが先決。自分がすべてをわかった上で、できないところをパートナーにやってもらうというのが正しいながれだ。たとえできなくても自分が体験しているか否かで相手への頼み方も変わってくる。相手があなたを見る目も変わる。自分にできないから頼んできた、まったく仕事の内容がわかってない・・・と思われたら足下を見られることにもつながる。
「何か一緒にできそうですね。コラボしませんか?」よくこんな会話もよくある。コラボというと一見すぐにできそうな感じがする。関連がある職種だから一緒にやれば何かできるかも?そんな安易な気持ちが発端だ。でも実際はそんなに簡単なものではない。本当に一緒にやるにはいくつかの点をクリアしないといけない。まずお互いのメリットが明確になっていること。そもそもの話のはず。でも意外にここがはっきりしないまま、やりながら考えようというケースが多い。「何でこの人と一緒にやってるんだ?」こんな気持ちを感じ始めたら黄信号。もうコラボはうまくいきません。
50対50の関係をつくること
起業家はみんな他人に口出しされることなく自分でやりたい人ばかり。お山の大将になりたい人だ。誰かに言われるのではなく自分ですべてを決めたい。人から指示を受けて仕事がしたいのなら独立起業は志さないはず。お山の大将になりたい人が一緒にやること自体うまくいくはずがない。パートナーと主従の関係ができることは避けたい。
全部自分が決めてやりたいから起業する。サラリーマンは上の許可を得ないと何もできない。そんな煩わしさから離れ自由にやりたい。そう思って起業の道を選ぶ。相手の指示を受けるようなことになるとうまくいくはずがない。各々自分がやりたいことをやりたいようにやろうと思って起業するのに相手との間に制約が出る。
対等な関係は自分ができることと相手ができないことが補完し合える関係のことを言う。つまり相手なしでは成り立たないという関係性だ。お互いを補完できる関係であることは力関係が同等であることの裏返しだ。やりたいことをやる代わりに自分ができないところが出てくる。そこを相手が補ってくれるのなら良い関係性がつくれる。
書面を交わすこと
利益配分と役割分担を明記した契約書をつくっておきたい。「旧知の仲なのでそんな堅苦しいものは要らない」親しい間柄であればあるほどそう思いがちになる。でもここが落とし穴だ。よく知っているからこそ書面が必要になる。最後にもめるのはお金の問題だ。お金でもめるとそれまであった人間関係は一気にどこかに吹っ飛んでしまう。
起業してすぐの頃の失敗談だ。少し先に独立した知り合いがいた。彼はあるフランチャイズの事業をやっていた。「最近引き合いが増えたので、あふれたところを手伝ってほしい。その都度なので自由な関係でいける」こんな話を持ちかけられた。すぐにでも稼ぎがほしいのもあってやることにした。お互い知っているからということで契約書らしい契約もしなかった。
実際に始まるとたいして案件は発生しなかった。そのうち取引上のトラブルが発生した。書面になっていないので言った言わないの話になった。基本は彼が主、僕が従という関係。次第にギクシャクしてきた。最後は離散という最悪の結果になってしまった。
今まで付き合いがあるし相手のことを知っているから・・・こんな関係が一番間違いを起こしやすい。お互い信頼し合った仲だからきっとうまくいく・・・そう思い込んでいる。でも仲が良ければ良いほど注意が必要になる。そんなの言わなくてもわかり合えてるじゃん・・・これが失敗のもとになる。ビジネスと友人関係とは別物。お金がからむと人は変わるものだ。
もめたとき客観的に解決してくれるのは書面しかない。第三者を入れるときにも書面がないと判断にしようがなくなる。面倒でも必ず契約書をつくっておくこと。忘れないでほしい。
自律できた者同士がチームを組む新しい働き方
必要なときに必要な人と組む。お互いの不足部分を補い合い、一緒にやることで相乗効果が出る。そしてお互いが自律し、すべてにおいてフィフティな関係。プロジェクトが終わったら解散。お互いの自律、自由がなくなったらチームはうまくいかない。会社とか雇用とか縛られた関係をなくして関わるメンバーが100%思ったことが発揮できる。これがフリーエージェントという働き方。共同経営とは正反対にあるスタイル。これからの時代はフリーエージェントだ。