働き方を広げる選択肢として新たに取り組んでいきたいカタチ、それが「夫婦協働ビジネス」です。夫婦がパートナーになって一つのビジネスを創っていく形態のことを言います。実は自分たちで実践している真っただ中にいます。最初からこんなのをつくりたいと計画して始めたのではなく、成り行きでそうなったというのが本音のところ。夫婦協働ビジネスの実践例を紹介します。
妻の働く環境の変化がキッカケ
妻は12年間契約社員をやっていました。最初はパートでしたが途中で契約社員になりました。自宅からも近くそれなりの環境で慣れ親しんでいました。ところがある日のこと、勤務先が突然閉鎖に追い込まれてしまいました。離職するか通勤1時間以上の場所に異動するかの選択を迫られる状況になりました。「大変そうだけどまずは1年間やってみる」と新しい職場に飛び込むことになりました。
それから1年。毎日家事をしながら通勤に苦しめられました。行った先の新しい人間関係にも日々悩みました。好きなことではない仕事に苦悩していました。「会社辞めてもいい?」「自分でやってみたいことがある。パパの仕事を手伝いながらチャレンジしてみたい」ある日妻は切り出してきました。もちろん承諾しました。
生きていてたのしい
会社を辞め、事業をサポートし始めてくれました。それと並行して自分がやりたいことを乗っけるところにも顔を出し始めました。妻と一緒にとある大手アウトドアメーカーに打ち合わせに行きました。夫婦二人で取引先と商談。これまで予想もしなかった光景。何だか不思議な気持ちでした。
打合せの帰り道、近所の居酒屋で今後の戦略会議。「あんな立派なオフィスでミーティングに参加したのっていつ以来だろう?20代の頃だから何十年ぶりになるよねえ・・・」「とっても刺激的だった」「毎日憂鬱だった1年前とは雲泥の差」「自分が企画したことがカタチになるなんて夢のよう」「生きててたのしいと思った」こんな話を連発していました。
これから働き方を一緒に考えたら夫婦円満になった
「シゴトをどうするかを夫婦で考えたら夫婦関係が円満になった」こんな話もあります。Aさんご夫婦はそれまでお互い相手との関係がうまくいっていませんでした。働き方を変え、同時に夫婦コミュニケーションも改善したいとの思いでした。
コンサルティングがスタートしました。毎回課題に向き合いシゴトをつくっていきます。ビジネスを考えるということは当然夫婦の会話が必要になります。お互いの思いがひとつにならないとシゴトはかたまっていきません。会話の中には自分がこれまでにもっていた思いやこれまでの経験も浮き彫りになります。知らず知らず会話の量も増え、話す内容も深くなっていきました。
十何年も一緒にいるのに、相手がこんな経験をしているとか、こんな思いがあったとか話したこともなかったし、知らなかった・・・
ビジネスをかためていけるのももちろんですが、夫婦のコミュニケーションが深くなったのが大きな成果です
Aさんのコメントです。
夫婦は毎日一緒にいるので、いつしか当たり前のような存在になります。そんな中、お互いのことを深く話すこともなくなっていきます。でも働き方を変えるという共通の目標へ向け真剣に話す。真剣に話す中でお互いのことをさらに深く知り合い、夫婦関係に新たな絆ができていきました。
働くことは生き方を決めることにつながります。夫婦でゴールイメージを共有することはとても大切なこと。一緒に立ち上げるか否かにかかわらず、こうしていきたいは話し合うべきもの。相手を説得するのではなくて、同じ思いを共有し共感する。そして最高の協力者になってもらう。Aさんご夫妻とお付き合いしながらわかった新しい発見です。
理解してもらうのではなく、一緒にやってみる
個人でシゴトをするというと「まだ妻の説得ができていない。どうしたらいいの?」「ダンナが理解してくれない。どう説明していったらいいか行き詰っている・・・」などパートナーの理解で頭を悩ますケースがあります。相談件数も尽きることがありません。ちゃんと行動で示すなどすれば必ず出口は見えます。ただ時間が掛かることも多いのも事実。
であれば、理解してもらうのではなく夫婦一緒にやってみてはどうか?そんな全く新しい視点に立ってみませんか?経理や雑務だけを頼むとかそういうものではありません。パートナーがやりたいことを優先に自分がやろうとするビジネスで相乗りします。
数年前、焚き火事業立ち上げで拠点をつくりました。たまたま妻はアウトドア好き。宿泊してもらうプランもつくり形態として民泊を選びました。宿泊部分は全て妻に任せています。やりたいのは物販。イベント企画も一緒にします。たのしんでやっています。二人とも無理なくたのしんでやれること、これが夫婦協働ビジネスのキモです。
目指すはお互いを尊重し合える関係づくり
とはいえ我が家もまだまだ第一歩を踏む出したばかり。ビジネスといっても、今現在収益といえる規模まで至っていません。軌道に乗るかも未知数、土台づくりの段階です。妻が会社を辞めたことで毎月の収入は少なくなります。その分家計にも直結します。やりくりもあります。でもそんなことより大切なことがあります。それは夫婦ともにワクワクしながら毎日を送れることです。
他人と違い、近しい関係なので仕事の方向性などでもめることはよくあります。ケンカになることもしょっちゅうあります。でもそれだけお互いに真剣にシゴトのことを考えているのだと後でわかります。
これまで培った夫婦という関係とは別にお互いを尊重し応援し合える関係づくりができたらいいなと思っています。夫婦で協働ビジネス。これから先どうなるかもわかりません。でもいつの日か新しい夫婦関係をつくるモデルとしてカタチにできたらいいなと考えています。