「自分には何ができるのかわからない」「いろいろなことが気になってこれというものがない」— 今、多くの起業家予備軍がこの壁にぶつかっています。

特にAIがノウハウやハウツーの答えを瞬時に導き出す現代において、表面的なスキルや知識だけでは、すぐに淘汰されてしまいます。

私たちが最初に固めるべきは、AIには代替できない、あなただけの**「自分軸」**です。

なぜ仕事がしたいのか?

どんな人に価値を提供したいのか?

何を継続したいのか?

この問いへの真の答え、つまり真の自分軸は、デジタルなノウハウではなく、リアルな経験や人との交わりでしか得ることはできません。

自分軸が定まっていないビジネスは、継続できず、いずれ頓挫します。全てを始める前に、この記事で「ぶれない自分軸」を確立し、AI時代を勝ち抜くための土台を築きましょう。

時代が変わっても「ぶれない自分軸」が必要な理由

なぜ、今「自分軸」を定めることが、起業の成功にとって不可欠なのでしょうか?

成功とは「継続」である

起業における成功とは、一過性のバズや単発の利益ではありません。それは、「継続して商いに取り組んでいること」そのものです。

そして、継続して取り組み続けるためには、困難に直面したときや迷ったときに立ち戻れる「拠り所」や「原点」が必要です。それこそが、テクニックやノウハウよりも上位にある「自分軸」なのです。

迷ったときの羅針盤になる

起業へのステップを踏み出すと、準備段階から迷いの連続になります。

他人の意見を聞いて右往左往してしまう。

目の前の「稼げそうなノウハウ」に飛びついてしまう。

こんな状況に陥ったとき、「そもそも何で起業の道を歩み始めたのか?」「何をしたかったのか?」と、戻れる原点が不可欠です。日々、試行錯誤とお金稼ぎに必死になる中で、すべての判断を下すのは最終的に「自分」です。この羅針盤となる自分軸が、迅速でブレない意思決定を可能にします。

軸がないと迷走する!起業家が陥る失敗談と結末

自分軸がないまま起業を始めると、痛い目にあいます。私自身の体験が、その最もわかりやすい失敗事例でしょう。

痛手:時間とお金、そして信頼の浪費

私の起業初期は、まさに「糸の切れた凧」のようでした。風向きによって、あっちに振られ、こっちに振られ。

これでいくという軸がない中、毎日をさまよう。目的もなく人と会ったり、テーマもなく高額のセミナーに参加したり。目の前で稼げそうなネタに手を出したり…。

結果、起業1年目はろくな収益も得られず、サラリーマン時代に蓄えた貯金の全てを失いました。

振り返れば、欠けていたのは「自分がどんなことをするのか」の軸、そして「何かにとんがるための軸」です。

最短コースを歩むための教訓

起業家には、パーソナルブランディングが必須です。 パーソナルブランディングとは、自分自身を売っていくこと。そのためには、何か一つの分野で「とんがって」いなければなりません。軸がない人は、誰にも刺さらず、誰にも覚えてもらえません。

当時の私は、この「自分軸の確定」という順番を間違えました。時間とお金を浪費し、回り道をしました。あなたは同じことをしてはいけません。スムーズな起業離陸と事業の軌道乗せのために、まずは自分軸を定め、時間とお金を有効に使いましょう。

AIに代替されない「真の自分軸」を見つける6つのアプローチ

ここからは、あなたの起業を成功に導く、ぶれない自分軸を見つけるための具体的な6つのアプローチを紹介します。

【熱量から探す】自分が「熱く語れるもの」を徹底的に掘り下げる

安易に起業テーマを決めると、必ず途中でブレます。ブレない軸の決め方、それは「自分が熱く語れるもの」は何かに意識を置くことです。

人は必ず熱く語れるものを持っています。それは、学生時代の部活でチームが一丸となった体験、仕事で困難なプロジェクトを立ち上げ成功させた経験、自分が人知れず熱中している趣味や分野など

あなたがその話になると、明らかに表情やテンションが変わる瞬間があります。友人や知人との雑談の中で、「今の話になったらいきなりテンションが変わったよね」と言われたものにこそ、あなたの原点と起業軸が隠されています。

【深掘り】ブレない「核(コア)」を見つける「Whyを5回繰り返す」アプローチ

自分軸を見つけるための最も有効な思考法が、「Why(なぜ?)」を繰り返す深掘りです。

自分が好きなことやワクワクすることを挙げ、その理由を「なぜ?」「なぜ?」と最低5回繰り返して掘り下げてみてください。

【例】私の場合(焚き火好き)

1.焚き火が好き(好き・ワクワクすること)

2.なぜ? → 心が落ち着き、自然体になれる、素直な自分に戻れるから。

3.なぜ? → サラリーマン時代、自然体でいられたときは楽しかったが、そうでないときは苦労したから。

4.なぜ? → そこにいる人一人ひとりの個性が発揮できていることに幸せを感じるから。

5.なぜ? → 一人ひとりが個を大切にし、持っている魅力を発揮し合える「場」がほしいから。

この「場づくり」こそが、私の行動の根っこ、つまり自分軸となりました。まるで木をスコップで掘り下げ、大元にある「根っこ」を探すイメージです。

【原点回帰】幼少時の原体験を振り返り潜在意識から引き出す

「三つ子の魂百まで」という言葉がある通り、幼少期の経験はあなたの潜在意識に深く刷り込まれています。

幼少時の原体験は、「自分がどういう環境を心地よいと感じるか」「自分が何に嫌悪感を抱くか」というあなたの行動原理のヒントが隠されています。

例えば、私の経験では、厳格な父親のもとで「自由がなかった」「個性を出せなかった」という抑圧的な体験が原点になっています。

だからこそ、今「個人の持つ個性をそのまま伸ばしてあげたい、大事にしたい」という思いが自分軸の核になったのです。

頭で考えるだけでなく、実際に文字として書き出すことで、忘れていた当時の情景や感情が蘇ってきます。

【他者評価】信頼できる人との「リアルな交わり」で軸を固める

AI時代において、ノウハウは得られますが、真の自己理解は「リアルな交わり」の中で深まります。

自問自答だけでは限界があります。

信頼できる第三者(メンター、コーチ、仲間)に自分の考えを話し、「それってなぜ?」「そう思うのはなぜ?」と質問を投げかけてもらう。

他人の意見を聞き過ぎて迷うこともありますが、その中でも「他人に何を言われようが動じない核」を発見することが重要です。

誰かに答えを教えてもらうのではなく、「自分で気づく」こと。これが、誰にも壊されないホンモノの自分軸の証です。

【行動原理】起業で「誰にどんな価値を提供したいか」を言語化する

自分軸は、あなたの「行動原理」です。これをビジネスに繋げるには、以下の問いに具体的に答える必要があります。

Who(誰に): どんな人を顧客としたいのか?(例:起業初期で迷走している人)

What(何を): その人にどんな解決策や価値を提供したいのか?(例:最短でぶれない軸を確立する方法)

Why(なぜ): それをしたい理由、あなたの情熱はどこにあるのか?(例:自分が遠回りした失敗を、他人にさせたくないから)

この3つの要素が繋がったとき、迷いのない一貫した商いが生まれます。

【パーソナルブランディング】その軸で「とんがる」ことを恐れない

自分軸が定まったら、それを「パーソナルブランディング」として打ち出す必要があります。

軸が決まっていれば、後は「その軸でとんがる」だけです。とんがることで、あなたのサービスは多くの情報の中で埋もれず、必要な人に強く刺さります。

「すべての人に好かれよう」とするのではなく、「特定の誰か」に熱狂的に求められる存在になること。これが、AI時代に生き残る起業家の必須要件です。

まとめ:自分軸は最高の「継続力」になる

「自分軸」は、商い以前のあなたの「存在理由」に近いものです。

起業準備期間中にこれを確定しておけば、その後の試行錯誤の連続の中で、「こんなことをして本当にいいんだろうか?」「これからどうしたらいいんだろう?」と悩んだとき、いつでも原点回帰できます。

「なぜ自分は起業したのか?」「誰に何がしたかったのか?」

迷ったときに立ち返る拠り所があるからこそ、ブレることなく、事業を継続させることができます。そして、継続こそが、起業の成功です。

時間とお金を無駄にしないために、まずは「自分軸を定める」という最初のステップを、今日から実行しましょう。

次にあなたがすべきこと

この記事で紹介した6つのアプローチのうち、特に「Whyを5回繰り返す」と「幼少時の原体験を振り返る」の2つに集中して、A4用紙に書き出してみませんか?