仕事の意味

お客さま視点を実践することの意味|ディーラーに学ぶ営業姿勢

エンドユーザーと企業をつなぐ営業マン。ある意味の会社の顔になる存在です。営業とは何か?その先の仕事とはどういうことなのか?働く人の気持ちはどこにあるのか?身近にあった事例をもとにその答えを導き出してみます。

急成長する会社の裏側

事業の関係で車の乗りかえを検討していました。とある買取業者に行った日の話です。商談が終わって店を出ようとしたときのこと。「すみません。報告があるので少しお待ちいただいていいですか?」営業マンは言いました。事務所の一番奥でパソコン画面に隠れるようにして座っている店長のところに行って報告をしていました。店長は思い切りしかめっ面をして何やら営業マンに指示を出しています。正確に聞こえませんでしたが、おそらく「お前何やってんだ。その場で売らないでどうする!」的なことを言っているのがわかりました。

この間僕らは待たされていました。報告なんてお客さんを返した後にするのが普通でしょう。加えて部下に対するあの態度は何だ?かなり印象を悪くしました。そして翌日。約束通り店舗に行くと担当の営業マンがいません。「申し訳ありません。◯◯は営業で外出しています」店番をしている女性スタッフが言いました。「はあ?」という感じ。約束したのに不在。あり得ない話です。極めつけはまたしても店長の態度。僕とのやりとりを女性スタッフが逐一報告しに行きます。またしてもしかめっ面。ああしろこうしろと指示を出していました。

初日の店長の態度でもうやめようとも思いました。ただ買取価格が破格だったので我慢して翌日も行くことにしました。でも2日目のやりとりでこの店舗には二度行かないことにしました。その後、営業マンから電話があったので理由もはっきり伝えました。

お客さまのいる前でやった行為。部下に対する姿勢。店舗の中の空気感。いずれをとっても最悪。そもそも店舗を訪れたとき「いらっしゃいませ」のひと言さえ言えないのは何なのか?きっとこの店長のカラーが店舗に充満しているからでしょう。

1日目営業マンが熱心に語った話の中で気になるものが話がありました。「車は価格勝負オンリーです。どこよりも高い価格を出すために弊社にはこんな仕組みがあります。毎日のように車を右から左へ流している感じです・・・」この話を聴いたとき、うん?と引っかかりました。車を何だと思っているんだ?疑問を感じました。買い手にとっての車とは思い出そのもの。家族とともにたくさんのページを重ねてきたものです。それを右から左へ流せばいいという言い方に違和感を感じました。目の前のお客を商品と思え!的な空気を感じてしまったのです。

この会社、業界ではかなりの急成長を遂げているようです。都心の有名ビルに本社を構えトップシェアを狙うところまで来ているとのこと。名刺にも販売No1というフレーズがうたってあります。店舗展開もどんどん増やしています。現に訪問した店舗も新しい出店でした。今回わかったことがあります。会社が急成長する裏側には必ず弊害があります。それがお客さま不在の経営だったとしたら・・・会社とそこに勤める社員の未来はとんでもないことにつながります。

本当の仕事とは何なのか?そこで働く人の思いはどこにあるのか?その人の思いを無視して仕事は成立しません。改めてその重要性を再認識させられる出来事でした。

相手の立場で考える営業マン

車の乗り換え検討は続きました。事業を動かすのに現在のミニバンでは装備のおさまりがつかなくなったのが理由です。そこで商用のハイエースに矛先を立てました。このクラスでは圧倒的な人気車。まずは残債の残る今の車の査定ありきです。

ネットでひと通りチェックした後、まずはどんな種類、価格帯なのかを知るためにトヨタのディーラーへ向かいました。閉店間際でしたが、30代前半の営業マンは丁寧に応対してくれました。その場で早速査定。その日は相手先の営業が終わっていたので翌日に再訪問しました。

新車での見積り価格と査定の結果を提示されました。車両はそれなりの価格。査定は残債が消える程度を希望していたがかけ離れた結果になっていました。「これきびしいですねー」と伝えます。「そうですよねー」と営業マン。考えたあげくこう切り出してきました。

「大きな声では言えませんが・・・うちで査定をやると低めのものしか出ません。一度買取業者にも行かれた方がいいです」「そうなんですね。どこか良い業者ご存知ですか?」「はい。◯◯社が良いかと思います。先日商談させていただいてお客さまにご紹介したら30万円近く高値がついたみたいです。結局商談は負けたんですけど笑」

このやりとりに驚きました。普通は自社ですべてを完了させクロージングまでもっていきたいのが営業の気持ちです。でも彼はお客さまの立場に立って最良の選択を提示してきました。彼の営業姿勢に心が動かされました。実際に買取業者で査定をすると40万円近くの高値がついた。びっくりです。結局、納期の問題がネックになって前には進まなかったが印象に残る営業マンの姿勢でした。

その後、十何年来付き合いのある日産へ向かいました。ハイエースしか視野になかったので日産は付き合い上挨拶に行くだけのつもりでした。事情をすべて話し、最初は今の車を軽自動車に乗り換えたらどうなるか?など相談しました。展示車で説明してくれた後、試乗車にも乗せてくれました。

「せっかくなのでうちのこれもご覧になってください」営業マンは日産のハイエースクラスの車を紹介しました。まったく眼中になかったが一応見ることに。ここで一緒に行った妻の様子が変わりました。「コストのことを考えても検討に入れてみてはどうかな?」少し気持ちが動きました。

席に戻りカタログを見ていると特別仕様車が目に飛び込んできました。「これならいいかも・・・」と感じました。すると「ちょうど今試乗車があるのでご覧になりますか?」と営業マン。実車を見て以前にも増して充実しているのがわかりました。その間に営業マンは見積りをつくっていました。「ぴったりご予算前後になりましたよ」見積書を見ると商談中に話した予算にぎりぎりハマっていました。心は決まりました。「じゃあお願いします」正直、車の内容だけならハイエースも捨て切れませんでした。最後の決定打は営業マンの人として姿勢でした。

最初は軽、その後ワンボックス、こちらの言うことは二転三転しました。そのときそのときで相手が言っていることをしっかり受け止め、最善の方法は何かを一緒に考えてくれました。「◯◯さんは相手の立場をしっかり理解して提案してくれているよね」妻は言いました。自分が売りたいものへ導くために作戦を立てて動かしていくような営業とは真逆の世界にいます。

ローン契約書を書いているとき、マンションの居住年数を書く欄があった。「何年だったっけ?」「どうだったかな?」夫婦でそんなやりとりをしていました。すると「僕が会社に入って2年目に三宅さんとお付き合いが始まったので今年で15年ではないでしょうか?」と営業マン。そんなに頻度高く会っているわけではありません。なのに相手のことがわかっていることに驚きました。

「ナンバープレート、どうしますか?」営業マンは訊いてきました。妻は「あ、ずっと使っているナンバーでお願いしたいです」と答えました。「でも余分にお金が要るんですよね?」と僕。「あ、もう見積りに入れていますから大丈夫ですよ笑」と営業マン。オリジナルナンバーは結婚記念日。彼はきっとこのことを憶えていたのでしょう。これぞ真の営業マン。彼と過ごした商談が大切なことを教えてくれました。

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