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多様化する働き方「複業」の事例6|55歳体験談インタビュー|テーマは人生のそばにあった

会社員と並行して、自分がやりたいこと、好きなことをシゴトにしていく複業。その実践者の体験談をインタビューしました。今回は55歳で5年間にわたり複業を実践するサビーさんの登場です。ぜひ聴いてくださいね。

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三宅:最初に軽く自己紹介していただいていいですか。

サビーさん(以下敬称略):名前はサビーと申します。1965年生まれです。現業は某製造業の技術職を長年やってまして、今はその技術職のセクションのマネージャーをやっています。ずっと社会人になってから、ものづくりに携わってきたのでものづくりに対して自分なりに思い入れがあると思っています。

日本のものづくりの衰退を何とかしたい

三宅:それに基づいて今、複業というかもう一つ自分のやりたいことでやっていることとはどんなことですか?

サビー:話せば長くなりますが、ものづくりに長く携わってきていて、日本のものづくりの衰退と言いますか、かなり縮小していき、海外に輸出したり、技術もそうですが生産能力ですらほとんど海外に持っていかれています。

ここ数年の日本ではインバウンドで稼げといった風潮があり、自分たちで付加価値を生み出して経済を回していくというようなことがどんどん薄れていっている思いがあります。日本の昔からのベースとなっていたものづくりを微力ながら何とか復活させる手立てはないのかと、今いろいろと模索しながら動いているところです。

三宅:なるほど。「ものづくり」という言葉がすべてみたいな感じですね。現業ではそういうことをずっとやってきたという話でしたが、子供の頃というか社会人になる前もものづくりとの関わりがあったのでしょうか?

サビー:昔は自分の生業で生計を立てていた人が多く、サラリーマンが少なかった時代でした。母方は鋳物工場で、父方の祖父が京友禅の絵描きをしていて、ものづくりが身近にあって育ってきたので、そういう意味でも今までの人生でものづくりがずっとそばにあったというような感じです。

一貫したテーマの中でも心境の移り変わりはあった

三宅:「人生のそばにあった」いい表現ですね。そういう気持ちがありながら長きに渡ってサラリーマンやってこられて、そこに留まることなく自分でやってみようと思ったきっかけは何ですか?

サビー:先ほど申し上げたように製造業の中にいても、効率とコストばかり追いかけてきて、技術を発展させていくことに企業としての投資もなくなりました。社員一人ひとりの技術研鑽であるとかそういった部分もいまいち昔に比べたらかなり弱くなっているなと。

このままでは日本の製造業は遅かれ早かれ完全に海外に流出して、日本のものづくりは後進国になりつつあります。今までものづくりで繁栄してきた時代を知っている私としては、それはなんとか食い止めたいなと。個人的な力はそんなたいしたことはないですが、なんとか食い止めたいという思いは持っています。

三宅:その熱い想いのもとにということですよね。ところで複業を始めてどのくらいになりますか?

サビー:活動を始めて5年くらいになりますが、最初の頃は結構ピンポイントにフォーカスして、あんなことやりたい、こんなことやりたいと試行錯誤しながらやってきました。

最近になって日本全体のものづくりが衰退していることをどんどん感じます。コロナの影響で製造業が中国依存になって、中国から部品が届かなくなったらもうモノが作れないとか、中国に技術があって日本国内ではどうしようもないとかそういうのを目の当たりにしています。

これじゃいかんやろと、国内でできることはやっていかないと今後の日本のものづくりは立ち行かないというのを、強くまた再認識していき、ものづくりというテーマの中で心境の移り変わりがあり、今に至っています。

好きなことなので時間は気にならない

三宅:試行錯誤の5年間ということですね。複業で多くの人が最初にあたる壁として時間がとれないというのがあります。そのあたり、サビーさんはどのように工夫していますか?

サビー:私自身、時間がないという観念は実はあまりありません。好きなことなので時間はあまり気にならないというか、それこそちょっとスキマが空いたら頭の中にあることを書いたりとか、もう少し時間の余裕があればそれをまとめて一つの文章に書きあげたりとかしています。習慣づけるというとちょっと大げさですが、そんな形でずっと進めてきたので、わざわざ複業のために時間を取ろうという意識はほとんどありません。

三宅:時間が空いていればやってるみたいな。

サビー:そうですね、例えばその逆もあって、何も浮かばなければ何もやっていない時間も当然あります。フィーリングで時間をコントロールしているという方が正しいかもしれません。

行き詰ったときはできない日と割り切る

三宅:なるほど、面白いですね。となるとそれに合わせて聴きたかったのがモチベーションですね、好きなことでもいろんなことが起こってモチベーションが上がり下がりすると思いますがそのあたりはどうですか?

サビー:もちろんそれもあります。例えば文章を書くにしても書きたいことは頭の中では整理できていても、文章に落とし込こむのは別もので、なかなかまとめにくいところもあったりするので、行き詰まったりしたら当然モチベーションは下がります。

そんな時は切り替えて今日は出来ない日と割り切って、次に回すというようにしています。結構切り替えが早い方なので、今日はダメだと思ったらもうやらないというような感じです。

ものづくりに関しては製造業をずっとやっているので、最前線を見ており、課題とか問題意識みたいなものは一定レベルで認識しているので、そこに関してはそんなに落ちることがなく、逆によそから何かそれ以外の刺激を受けた時にモチベーションが上がるという感じです。

会社で入ってくる情報を自分のシゴトに取り入れる

三宅:現業がモノづくりの現場なので、実際複業でやろうとしているものと相乗効果が出ているということですか? 

サビー:私自身、直接ものをつくっているわけではありませんが、リアルで生の情報はいろいろ入ってくるので現状が理解できています。それ以外の分野で大学や研究会でやっている情報を仕入れて自分の中でうまく組み合わせて消化させ、自分の形をつくっていこうと数ヶ月前からやってきました。

三宅:今の話に関連しますが、現業と複業のバランスはどんな感じですか?

サビー:会社で給料もらっている以上、それをおろそかにするというのはあり得ないので、全力を尽くすというのが大前提です。残った時間をいかに使うか、例えば土日だったり帰宅後だったりとバランスはあまり考えてなく、やれるときにやるという感じです。

例えば今まで趣味でやっていたゴルフや水泳をあまりやらないで、複業の方に時間を割いています。今どこにモチベーションがあるかというだけの話でストレスにも苦にもなっていません。

困っている人をサポートする結果が対価になる

三宅:複業をやってきてどんな苦労がありましたか?

サビー:ものづくりという一貫したテーマはあったものの、自分の頭の中の整理がつかずにこうでもない、ああでもないといろんなところに行ったり来たり試行錯誤しながらやってくる中で、将来ビジネスとしてやりたいところにどうやってつなげていくのか、自分のやりたいこと、好きなことがどうやって人の役に立てて、それに対してお金をもらえるような形を構築していくのかというところを考え続けています。

マネタイズを優先するよりも、今世の中や誰かが課題としていることを自分の力でサポートできる部分をつくり、それによってマネタイズがついてくると最近になって考えるようになりました。

複業をやって得た人のつながりとご縁

三宅:なるほど。複業をやり始めてから、自分の考え方や周囲の環境など得たことはありますか?

サビー:一番大きいのは人です。人が広がったり、変わったりしました。人を通じてまた新しい人との繋がりができたり、そういう輪が少しずつ広がりつつあります。非常にありがたいことですし、逆に自分も人のためになれたらいいなと常々思っています。

三宅:最近の例とかありますか?

サビー:同じ京都で起業活動をしている人のツテで、宮大工さんの会社に訪問させていただける機会があり、社長さんの話を聴いたり、現場を見せていただいたりしました。

製造業界の大量生産の部分でいくと、どうしても効率やコストや最先端の技術がどーのこーのという世界ですが、一方で室町時代からの技術をずーっと引き継いでやられているという世界を知り、目からウロコというかこういう世界があるのだと痛感し、刺激を受けました。

ものづくりの話になるとお互い好きなのでどんどん盛り上がってしまい、社長さんと4時間くらい話し込みました。それでもまだもの足りないなという感じで、次はお酒の席でという話が出るぐらいでした。そういうことが非常に有り難いし、そこで人脈をつくっておけば次に何かご縁があるのかなと思います。

失敗を恐れない、尻込みは後退と同じ

三宅:ラジオを聴いているのは何かやれたらいいなと思っている人たちです。一歩先行く先輩として複業を始めるのに、こういうのがあったらいいかもねというメッセージがあればお願いします。

サビー:人それぞれ性格も人格も考え方も違うので、なかなかこれというピンポイントはありませんが、失敗を恐れないというのが一番大きいかなと思います。

どうしても失敗を恐れて尻込みしてしまうとか、なかなか一歩踏み出せない人が多いような気がします。今コロナで世の中が変わりつつある中、それこそ一歩を踏み出さないことは逆に後退しているということ。立ち止まっていたらどんどん時代が流れて行っているのに置いていかれるというような感覚があります。何がなんでも前に進むというぐらいの強い気持ちをもってやっていかないといけないと思います。

ちょっと考え中とか、もうしばらく考えてみようかということはしない。とりあえずやるという、自分で自分に言い聞かせている部分ももちろんありますが、それが非常に大事と思います。

一つの例として、コロナになって、今まで会場でやっていたセミナーが急にオンラインに変わり、オンラインセミナーが増え、タイトルだけ見て面白そうだなと思うものは、ほぼすべてに参加ボタンを押してとりあえず聴いてみることにしました。面白くなければそれはそれで仕方がないし、なにか一つでも二つでも得られることがあれば自分にとってはプラスです。そういう風に自分に叱咤激励しながらやっていくのは非常に大事と思います。

ぼんやりと見ているだけでは探せない

三宅:今まさに渦中ですが、新型コロナの前と今で変わったことはありますか?

サビー:周りはもちろん人それぞれで、すごい過度に恐れている人もいれば、全く無頓着な人もいていろいろいですね。自分自身はどうかと言えばいろいろな意味でチャレンジの機会が増えたという気がしています。

ネガティブな側面ばかりを見てしまうとへこむしかないので、ネガティブをいかにポジティブに切り替えるかというところが非常に大事だと思います。

ネガティブの中からどうやってポジティブを探すか、ぼんやり見てるだけでは見つからないので、焦点を強めながらポジティブに考えていける面を自分の中で見出せかというのは大事だし今もそのように考えています。

三宅:最後にご自身のPRがありましたらお願いします。

職人のもつ技術ノウハウを集めた場でイノベーションを起こす

サビー:今私がやっているのは、今後いかにして日本のものづくりを盛り上げていけるかというところです。最近特に思うのが、職人やエンジニアで企業に勤めてやっている人、もしくは個人事業主でやっている人は大きな目で見ると社会的な共通資本ではないかということです。

会社という組織に囲われて技術もそこで囲い込んでしまい、閉鎖的な空間の中だけで自分たちの会社の利益とか技術を追及するということをずっとやってきた世の中でした。

今はそういう時代ではなく、そういう人が持ってる技術やノウハウは社会的な共通資本として捉え、どんどんそういうものの組み合わせによってイノベーションを生んでいき、また新たな付加価値が生まれていくのではないかと思っています。

そういう志のある人たち、企業に勤めていても勤めていなくてもいいので、そういう技術やノウハウを持っている人たちが集まって何かを起こすという場をつくりたいというのが今の私の想いです。

そういうことに賛同していただける、もしくは共感していただける人がいればどんどん仲間としてやっていただければありがたいと思っています。

三宅:有益な話がいっぱいだったと思います。今日貴重な時間をいただきましてありがとうございました。

サビー:ありがとうございました。

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